ROBERT RODRIGUEZ’S PLANET TERROR
邦題 | プラネット・テラー in グラインドハウス | |
レーベル | genius products | |
制作年度 | 2007年 | |
上演時間 | 105分 | |
監督 | ロバート・ロドリゲス | |
出演 | ローズ・マッゴーワン、フレディ・ロドリゲス、マイケル・ビーン | |
画面 | 1.85:1/アナモルフィック | |
音声 | DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語、スペイン語 | |
字幕 | 英語、スペイン語 |
あらすじ
アメリカ軍が密かに開発していた生物兵器が漏れだした。それに感染すると、人間がゾンビ化してしまうというもので、実験で数名の人間に試していたものが、逃げ出し、その混乱の中、ガスが漏れてしまったのである。ゴーゴーダンスの踊り子だったチェリーや、その恋人レイらが、生物兵器に感染したゾンビと出会い、辛くも生き延びる。そうこうするうちにもゾンビ化した人間は膨れ上がり、病院も混乱を極め、医者達も次第に感染していく。チェリーら感染しない抗体を持っているものは、軍の基地に乗り込み、事態を収拾しようとするが、軍の司令がそれを阻止しようとする。
レビュー
ロバート・ロドリゲスがクエンティン・タランティーノの要請のもと、かつてのB級2本立て映画の再現を目指した作品がこの「プラネット・テラー in グラインドハウス」です。DVD化に際し、長尺版に再編集をされています。そして指定がかなり残虐なR指定になっています。
タランティーノの「デス・プルーフ」もB級映画っぽい感じはありましたが、今回のロドリゲス監督の「プラネット・テラー」は本当にB級映画そのものだと思います。なんとテーマはゾンビ映画ですから、観ていて恐怖感というより笑ってしまうシーンが満載であると思います。
笑ってしまうというのはジャケットでも描かれていますが、主人公の一人チェリーが右足をゾンビに奪われ、片足ダンサーになってしまうところで、恋人のレイが彼女にマシンガンを装着するところで、これなんか「デスペラード」のギターマシンガンとか、ロケットランチャーケースを彷彿とさせるギミックになっています。こんなことを考えだすのはロドリゲスぐらいなものだと思います。
そもそも人間をゾンビ化するガスを吸った人間はキンタマが落ちてしまうという設定もギャグとしか思えません。まあ当然男だけですが、そのキンタマを瓶に保存しているシーンなどは、何のギャグだと腹を抱えてしまいます。その他にもガスを吸った人間は皮膚が膨張してつぶすと粘液と血を吹き出すという設定になっていますが、これも不気味というよりギャグです。とにかくかつてのB級ホラーの再現を試みた感じはよく出ていると思います。
登場人物のうち、ゾンビ化しない人間は何らかの抗体を持っているのかと思いますが、科学者がワクチンを開発することなく、物語を終えてしまうというのもいい感じに突き放していて、ユーモアがあります。結局抗体を持った人間はメキシコに逃げ延びるだけという展開は、世界を放置しているということになり、その他世界は多分ゾンビだらけだと思うのですが、それをいっさい解決しないでしかも楽観的に終わらせるというストーリーには唖然とさせられます。
物語に入る前に架空の映画、「マチェーテ」の予告編が入りますが、これが結構B級っぽい感じで本編が出来たら面白いだろうなと思わせます。で実のところこの「プラネット・テラー」公開後、反響が大きくて、実際に「マチェーテ」とその直接の続編「マチェーテ・キルズ」が製作されています。
映像の凝りは「デス・プルーフ」より強化されていて、フィルムの傷、ゴミのみならず、色合いの変化に始まり、ついにはフィルムが映写機の熱にやられて焼き切れてしまい、シーンが飛んでしまうという冗談のような演出まで行われています。ここまで凝ると、逆に物語に没頭出来るという感じはします。
映像は前述のようにゴミとか傷が意図的に入っていますが、それを甘味すると意外と解像度があり、色合いはしっかりホラー色を出していると思います。元々の素材フィルム自体は情報量が多いのではないかと思います。音響は映像と違って5.1chサラウンドが結構活躍していて、効果的なサラウンドフィールドを生成していると思います。
コメント