PLEASE STAND BY(Blu-ray)
邦題 | 500ページの夢の束 | |
レーベル | magnolia home entertainment | |
制作年度 | 2017年 | |
上演時間 | 93分 | |
監督 | ベン・リューウィン | |
出演 | ダコタ・ファニング、トニ・コレット、アリス・イヴ | |
画面 | 2.40:1/アナモルフィック | |
音声 | dts-HD MA 5.1ch 英語 | |
字幕 | 英語、スペイン語 |
あらすじ
自閉症のウェンディは、施設のスコッティの庇護の下、スター・トレックの脚本を書くことに意欲を出していた。ウェンディには姉のオードリーがいたが、彼女は子供ができ、ウェンディの世話をすることができなくなっていた。そんなある日、パラマウント・ピクチャーズがスター・トレックの脚本コンテストを開催することを発表する。ウェンディは、自作の脚本を郵送でパラマウント・ピクチャーズに送ろうとするが、締め切りに間に合わなくなり、意を決して、ロサンゼルスのパラマウント・ピクチャーズに脚本を自身で届ける決心をする。ウェンディは、自閉症という障害を抱えながら、ロサンゼルスに向かうが、その道中、様々な事件が起こる。そして、ウェンディが施設から消えたことを知ったスコッティと姉のオードリーは、ウェンディを探すことになる。
レビュー
自閉症の若い女性が、大好きなスター・トレックの脚本コンテストに応募するために、ロサンゼルスまで旅をするというロード・ムービーがこの「500ページの夢の束」です。映画としての評価は水準並みの出来ですが、あまり大規模公開されていないため、ヒットには遠く及ばない映画になっています。
この映画のキーポイントは、2つあります。まず主人公、ウェンディが自閉症であるということ。そして、スター・トレックというアメリカ人なら大体誰でも知っているTVドラマを、テーマにした映画であることです。それらが絡み合って、普通のロード・ムービーとは少し味付けの違った映画に仕上がっていると思います。
一つ目のキーポインである自閉症というのは、子供の頃から発症する病気で、これを取り上げた映画というのはあまり多くないのではないかと思います。世間から誤解を受けることも多い病気ではありますが、主人公ウェンディを演じたダコタ・ファニングの熱演により、自閉症の特徴をうまく表現していると思います。他者とのコミュニケーションがうまくできないというところや、一つの事に異常にこだわるというところに、この映画の表現がうまく重なっているかと思います。
もう一つのキーポイントであるスター・トレックの脚本コンテストというのは、知名度の低い日本では理解し難いですが、知名度の高いアメリカでは当然のようにストーリーに絡みついてきます。基本的に「宇宙大作戦」(スター・トレックの最初のTVシリーズ)のカーク船長とミスター・スポックの関係をテーマにしていますが、そのほかにも「新スター・トレック」の登場キャラ、ウォーフの名前が出てきたり、ロサンゼルスの警官がクリンゴン語をマスターしているなど、スター・トレック・ファンなら「わかる、わかる」という設定がされています。
ロード・ムービーとしては、様々なアクシデントがウェンディに襲い掛かりますが、それを深刻な演出ではなく、軽いタッチで描いているのが、この映画の特徴であると思います。最終的にウェンディがスター・トレックの脚本をパラマウント・ピクチャーズに提出できるのか、というクライマックスがこの映画の盛り上げポイントで、ほのぼのとした映画になっていると感じます。
画質は色乗り、解像度とも申し分ない映像になっていると言えます。ロード・ムービーですので、カリフォルニアの雰囲気が出ているかどうかでニュアンスは変わってきますが、その辺の再現はよくできていると思います。音響はdts-HD MA 5.1chですが、サラウンドは控えめです。サラウンドというよりサウンドトラック自体が控えめなので、メインがフロント中心の鳴り方をしているように思います。環境音は時々サラウンドしますが、あまり効果を発揮しているとは言えない状況です。
ちなみにBlu-rayのジャケットでダコタ・ファニングが広げている手の形は、スター・トレックの人気異星人、ヴァルカン人の挨拶の仕草をしています。ヴァルカン人は、ミスター・スポックが有名ですが、この手の形をして「長寿と繁栄を」というのがスター・トレック式挨拶であります。
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