SCOTT PILGRIM VS. THE WORLD(Blu-ray)
邦題 | スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団 | |
レーベル | UNIVERSAL STUDIOS HOME VIDEO | |
制作年度 | 2010年 | |
上演時間 | 113分 | |
監督 | エドガー・ライト | |
出演 | マイケル・セラ、メアリー・エリザベス・ウィンステッド、キーラン・カルキン | |
画面 | 1.85:1/アナモルフィック | |
音声 | dts-HD MA 5.1ch 英語 / dts 5.1ch スペイン語、フランス語 | |
字幕 | 英語、スペイン語、フランス語 |
あらすじ
スコット・ピルグリムは22歳にもなって未だ高校生の若者で、仲間とバンドをやっていた。スコットには17歳の中国人の彼女、ナイフがいた。しかしある日スコットは夢の中である女性に出会う。その女性が実在の人物、ラモーナということが分かり、スコットはナイフを置いてきぼりにして彼女を追う。ラモーナと付き合おうとするスコットだったが、ラモーナにはかつて付き合っていた7人の人物がいて、それらを倒さないと、スコットはラモーナと付き合えなかった。かくしてスコットはラモーナと付き合うべく、7人の元カレと戦うことになる。
レビュー
ハリウッド映画としては珍しいカナダの漫画を映画化した作品が、この「スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団」です。映像に凝っているためにかなり制作費はかかっているのですが、興行的には成功しているとは言えません。しかしながら、割と面白い作品に仕上がっています。
まず、この映画自体が、テレビゲーム、それも80年代のゲームに影響を受けているということを認識している方がいいかもしれません。主人公スコット・ピルグリムが、恋した女性ラモーナの愛を勝ち取るために、7人の元カレ軍団と戦うというのは、テレビゲームのバトルシーンを模していると言えます。
また、その元カレ軍団が、人数を倒していくごとに強力になっていって、スコットを苦しめるという展開は、テレビゲームのラスボスを彷彿させる仕掛けになっていって、なかなか面白いところがあります。スコットも単なる若者で大した力がないかと思いきや、実は結構強くて、バトルシーンでカンフーアクションを展開しているのは、面白いところであります。
ただ、個人的にはスコットが惚れる女性ラモーナに感情移入できなかったために、なぜスコットが現彼女のナイフを捨ててまでラモーナに行くのかが、動機がはっきりしないところはあります。クールな雰囲気を持つラモーナですが、あまり魅力的に感じなかったところがあり、そのためにスコットも、元カレ軍団も「彼女のどこがいいの?」と感じてしまうところはあります。
登場人物が、スコットをはじめ、結構ボンクラの人たちが多く、若者の現代感を表しているところはあり、それはゆるい感じで物語を形作っているところはあります。それがあるからスコットと元カレ軍団とのバトルはメリハリがついて、面白いと思えるところではあります。あとはスコットを追いかける中国人少女ナイフの健気さに感情移入できるかと思います。
原作がコミックのせいか、映像でそれを表現するのに、まるで1960年代のテレビシリーズ「バットマン」のように文字が画面に登場したり、テレビゲームのステージクリアの画面のようなシーンが登場するのは、凝った仕掛けだと思います。それがないと単なる青春映画になりかねないところですが、このせいで一風変わったサブカル映画になっていると思います。
映像は基本1.85:1のビスタサイズなのですが、時々演出のために2.35:1のシネスコサイズに変わったりしています。精細感はあり、色乗りも十分で、なかなか魅力的ですが、撮影されたカナダの寒さみたいなものはあまり伝わってこないところではあります。まあコミックの映画化ですから、そういうのにはあまり関係ないのでしょうが。音響は5.1chのサラウンドをフルに駆使して、映像のコミカル感をサポートするサウンドデザインになっています。その辺の音響は魅力的で、十分に楽しめると思います。
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