THE DARK KNIGHT(DVD/Blu-ray)/ダークナイト/輸入盤DVDで観た映画のレビュー

THE DARK KNIGHT(DVD/Blu-ray)

THE DARK KNIGHT DVDジャケット 邦題 ダークナイト
レーベル WARNER HOME VIDEO
制作年度 2008年
上演時間 153分
監督 クリストファー・ノーラン
出演 クリスチャン・ベール、マイケル・ケイン、ヒース・レジャー
画面(DVD) 2.40:1/アナモルフィック
画面(Blu-ray) 2.40:1/1.78:1(IMAXシーケンス)
音声(DVD) DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語、フランス語、スペイン語
音声(Blu-ray) DOLBY TRUE HD 5.1ch 英語
DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語、フランス語、スペイン語
字幕(DVD/Blu-ray) 英語、フランス語、スペイン語

あらすじ

ゴッサム・シティでは、ジョーカーの一味が銀行強盗を重ねていた。ジョーカーはゴッサム・シティの守護神であるバットマンを亡き者にしようと、「バットマンが正体を現さなければ、ゴッサム・シティの市民を毎日一人ずつ殺害していく」と、バットマンを脅迫する。ブルース・ウェインは、苦悩の末、バットマンの正体が自分であることを公表しようとするが、地方検事のハービー・デントが、「自分がバットマンである」と公表してしまう。警察の目をかいくぐりながらジョーカーと対峙するバットマンは、自身がミスター自警団になっていることに苦悩する。果たして、バットマンは、ジョーカーの犯罪を阻止できるのであろうか。

レビュー

大ヒットした、「バットマン・ビギンズ」の続編として製作されたのが、この「ダークナイト」です。ジョーカー役を演じたヒース・レジャーが薬物により、映画公開前に死去してしまい、大きな話題を集めた作品であります。2008 年の公開された映画の中で最大ヒットを飛ばしただけでなく、全米映画興行収入の歴代 2 位を記録した作品でもあります。

今回は、バットマンの宿敵であるジョーカーを登場させ、バットマンと一騎打ちの戦いを見せてくれるところに物語の肝があります。ジョーカーは、最初から、サイコパスであるという描き方をしており、狂った行動をしているところが特徴であります。この難役をヒース・レジャーが生き生きと演じています。

本作のタイトルである「ダークナイト」という意味合いは、まさに闇のヒーローといった具合に描かれています。物語冒頭で、バットマンのまねをするものたちが現われますが、警察の法を破り、闇夜で活躍するバットマンは、まさに光のヒーローではなく、闇のヒーローとして描かれています。

ジョーカーの起こす犯罪は、昼間のことが多く、ゴッサム・シティの市民達は、光のヒーローを望んでいきます。それをかなえるのが、地方検事であるハービー・デントであります。彼は、自らがバットマンである、と嘘の名乗りを上げることで、市民の信頼を勝ち得ていきます。

しかし、ハービー・デントは、恋人であるレイチェルとジョーカーの罠にはまり、レイチェルは死亡してしまい、自身も顔を大火傷を追って、トゥー・フェイスに変貌してしまいます。ハービー・デントの頃から、彼は、コイン・トスで物事の白黒を決める傾向がありましたが、トゥー・フェイスになってからは、それが顕著になっていきます。

バットマンは、後半、市内の通信をすべて傍受するという違法行為を行ってまで、ジョーカーを追い詰めていきます。彼は、ジョーカーを捕まえますが、その代償に警察から追われる身となってしまいます。物語ラストで、ゴードン警部補がバットライトを破壊するシーンはその象徴だと思います。

バットマンは、ラスト、トゥー・フェイスを倒し、ゴードン警部補の一家を助けますが、その過程で、トゥー・フェイスを殺害してしまいます。これは、バットマンの意図したことではないと思います。バットマンとしては、トゥー・フェイスも助けたかったのではないかと思います。

今回の物語が、特徴的なのは、昼間のシーンが多くて、夜のシーンが少ないということです。バットマンの登場シーンが意外なほど少なくて、人間ドラマが延々と続いていきます。ヒーロー物の続編としては、珍しい形式ではないかと思います。バットマンことブルース・ウェインの苦悩する様子が描かれていて、単純なヒーロー物ではなくなっています。また、ジョーカーも昼間に活躍するシーンが多くて、狂気の様を見せ付けています。その他の登場人物も昼間に活躍をしていて、闇のヒーローという図式をかえって強調しているような気がします。

画質は前述のように昼間のシーンが多く、鮮やかな映像を堪能させてくれます。前作とは違って夜のシーンでも見やすい映像を提供してくれています。音響は、2ch ステレオで鑑賞しましたが、サウンドフィールドが自分を包み込むように形成され、また重低音がかなり大きくフィーチャーされています。

Blu-ray盤での感想

劇場で「ダークナイト・ライジング」、自宅でのBlu-ray盤での「バッドマン・ビギンズ」の鑑賞を受けまして、傑作の呼び声高い「ダークナイト」をBlu-ray盤で再見いたしました。基本的なことは、DVDで観た時と同じなのですが、ちょっと気がついたことを書きたいと思います。

まず「バットマン」の掟みたいなものが、今回ジョーカーには全然通用しないというところが物語の肝になっているかと思います。それは犯罪人を決して殺さない、という信条に基づくものですが、これがあるためにジョーカーの暴走を止めることが出来ないという構図が物語の骨幹をなしているかと思います。

一方でジョーカーは犯罪を起こしますが、金のためでもなんでもなくて、ただ街が混乱して市民の姿勢を問う行動をして楽しんでいるだけというサイコパス的キャラクターのため、一筋縄ではいかないキャラクターになっています。ティム・バートン版でもアニメ版でもジョーカーはサイコパス的キャラではありますが、今作でのジョーカーはより身近にいそうな変質者という感じでリアリティを感じさせるところがあります。まあこんなキャラいたら迷惑ですけれど。

もう一人の悪役になってしまうハーヴィー・デントは、正義のヒーローとして、市民の信頼を勝ち取る立場にいるべき人間ですが、彼の目論見は途中まで達成しているものの、ジョーカーの罠にはまって結局良心というものをなくした人物として描かれます。自分の恋人の復讐心だけでゴードンの家族を人質に取り、ゴードンに自分の苦しみを与えようとする様は、只の人間として共感できるとはいえ、バットマンに倒される運命にあるキャラなのかなと思います。

本作でのテーマは、「ヒーローとは何か?正義とは何か?」を問うテーマ的に重い内容であります。リアルな都市として描かれるゴッサム・シティ(撮影はシカゴがメイン)でバットマンが犯罪者を退治していくたびに、ミスター自警団のバットマンの存在意義が問われていっていると思います。前作よりは警察もクリーンになってきているようですが、まだまだ内部に犯罪に通じている者を抱え、頼りにならない面を見せているかと思います。その中でバットマンは自らの正義に従って行動するわけですが、クライマックスではそのために警察自体を敵に回すことになり、またデントの死の責任をすべて背負ってしまい、犯罪者としての立ち位置に最後は変わってしまいます。これはかなりインパクトのある展開で、ヒーローの概念をひっくり返しているかと思います。

物語序盤で前作で逃亡したままのスケアクロウことクレイン博士がまた登場。ちょっとしたファンサービスをしています。まあ誰にファンサービスしているかは不明ですが。

画質はIMAXシーケンスと通常のパナビジョンカメラでの撮影シーンとでは、かなり差があります。素材であるフィルムの大きさからくる解像度の違いがBlu-rayという枠の中でも明白に分かるようになっていて、IMAXシーケンスの解像度の高さはまさに驚異的と思わせるところはあります。通常のパナビジョンカメラでの撮影シーンも悪くはないのですが、少々フィルムグレインが見られるところもあり、解像度も少々劣ります。色乗りは悪くないと思います。音響はDOLBY TRUE HD 5.1chでの鑑賞ですが、自然なサウンドデザインをしていて、音に取り囲まれるという魅力的な音場を提供しています。低域も結構出ていて、迫力ある音響を提供しています。

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