THE VANISHING(1988)(Blu-ray)
邦題 | ザ・バニシング-消失- | |
レーベル | THE CRITERION COLLECTION | |
制作年度 | 1988年 | |
上演時間 | 106分 | |
監督 | ジョルジュ・シュルイツァー | |
出演 | ベルナール・ピエール・ドナデュー、ジーン・ベルヴォーツ、ヨハンナ・テア・ステーゲ | |
画面 | 1.66:1/アナモルフィック | |
音声 | PCM 1.0ch フランス語&オランダ語 | |
字幕 | 英語 |
あらすじ
レックスとサスキアのカップルは、ヨーロッパを自動車で旅していた。しかし、自動車がガス欠で動けなくなり、それが元で二人は喧嘩をする。仲を取り戻した二人は、パーキングエリアに入り、サスキアは飲み物を買いに売店に入る。そして、サスキアはそれっきり行方不明になってしまった。レックスは狂ったようにサスキアを探しまくったが、その後3年を経過しても、サスキアの行方は分からなかった。レックスには新しい恋人もできたが、サスキアの行方については諦めきれなかった。そんなレックスに対して、学校の教授であるレイモンド・レモーネが接近してくる。レイモンドはレックスに対して、「サスキアがどうなったか知っている」と話しかけ、レックスに自分の行く先についてくるよう指示する。レックスは不信感を拭えなかったが、サスキアの行方を知りたさに、レイモンドの言葉に乗せられる。レイモンドは、実験を行なっており、それをサスキアに試していたのである。そして、その実験はレックスにも迫っていた。
レビュー
オランダの監督、ジョルジュ・シュルイツァーが1988年に制作して、高い評価を受けているサスペンス映画が、この「ザ・バニシング-消失-」です。1993年には、監督自らがハリウッドでこの作品のリメイクを果たし、公開されていますが、ストーリーは一部変わっていて、いかにもハリウッド的展開に書き換えられています。日本では長らく劇場公開されない作品ではありましたが、2019年に劇場公開されることになっています。
この映画が優れているのは、主人公レックスの恋人であるサスキアの突然の失踪に対して、次第にその理由が明らかになっていく、という話で、それを操っているのは教授であるレイモンドという男であるところにあると言えます。登場人物が少ないので、心理的サスペンスとして、緊張感が持続しているといえ、話の展開が面白くなっているところです。
この話が怖いのは、レイモンドが普段は家族思いの男であり、その普通っぽい人生を送りながら、その裏で怖い実験を計画し、実行に移すという点にあると言えます。彼の沈着冷静ぶりには、そこはかとない怖さが漂っているかと言えます。かと思うと、実験に失敗し、女性誘拐をしくじる場面もあり、そのキャラぶりがインパクトを与えるものになっています。
主人公であるレックスのサスキアに対する思いは、異常とすら思えるほどですが、それがあるがため、レイモンドの誘いに疑いを持ちながら乗ってしまうという展開も、頷けるものがあるかと思います。レックスが普通の人物であり、単にサスキアに対する思いが強すぎて、テレビのインタビューにすら受けてしまうというところに、レイモンドの罠にはまっていく要素があると言えます。
ハリウッド・リメイク版は過去に一度見たことがあるのですが、ラストが全く違い、オリジナルであるこの「ザ・バニシング-消失-」は、救いがない怖さを感じるところがあります。このオリジナルを観た後でハリウッド・リメイク版のラストを思い出すと、ハリウッド版は評価が下がってしまうのかなと思います。
映像は安心・安定のクライテリオン・コレクションですので、フィルムのトーンを忠実に再現していると思います。フィルムの柔らかな印象がBlu-rayでも再現されていて、色彩も十分な要素になっていると思います。オランダ映画ですので、アスペクト比は1.66:1のヨーロピアン・ビスタサイズでの収録になっています。音響はPCMのモノーラル音声ですので、サラウンド感は全くありませんが、音域は十分で、聴きやすい音響になっていると言えます。効果音も台詞に埋もれることなく、きちんと聞こえています。
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