佐野元春 & The Hobo King Band Billboard Live ‘Smoke & Blue 2014’
ビルボードライブ大阪
2014年4月19日/1st
最初、今回のライブの話を聞いた時、正直「また、東京と大阪のみ?」と悩んでしまった。昨年秋に「SOMEDAY」完全再現ライブで東京に遠征した時に、旅費が馬鹿にならなかったこともあって、それから半年も立たずにこのライブ情報で考えてしまったのである。それでもチケットはビルボードライブだから争奪戦になることは予想され、何より佐野元春をずっと追っかけてきた身としては、やはり旅費がかかっても見たいという欲望のほうが勝った。2月に4月のライブのファンクラブ先行予約があったので、会社を休んでチケットを確保できるか試してみたら、大阪のほうを運良く確保できることになってしまった。そうするとどうして旅費のコストを下げるかが問題になる。ネットで探していたら、JR西日本の会員限定で博多-新大阪、新幹線のぞみで片道1万円という正規料金の2/3で買えることが分かり、それを確保したことで、少しは費用が楽になった。
4月19日の1stが僕の確保したライブの回で、3時半に開場なので、それに合わせて11時前に自宅を出た。新幹線は定刻通りで2時半過ぎには新大阪、3時前にはビルボードライブ大阪に着いていた。少し時間があったので、ビルボードライブ大阪の入っているビルを散策して回り、3時20分に再度ビルボードライブに行くと、既に人が集まっていて、ほどなく開場した。
僕の順番は比較的早いほうだったので、かなり左寄りだが、前方の席を確保できた。ビルボードライブ大阪は飲食の出来るライブハウスなので、ビールとつまみを注文して、ライブ前に気分をリラックスさせた。
そうしているうちに、相席の妙齢の女性達と少し会話を交わすようになった。僕にしては珍しいことで、佐野元春のライブに一人で参戦しているときには、他の人と会話を交わすことなどほとんどない。聞いてみると、皆大阪とか京都辺りから来ているようで、今回のビルボードライブを何回も確保しているということである。まあ僕は福岡に住むようになってからは、1回見られればいいやと思っているので、それはそれでいいと思う。
ライブは4時半に始まった。メンバーは、ドラム:古田たかし、ベース:井上富雄、チェロ:笠原あやの、キーボード&ギター:Dr.kyOn、そしてギター&ボーカル:佐野元春という面々である。曲は久しぶりという感じの「ヤァ!ソウルボーイ」から始まった。
- ヤァ!ソウルボーイ
- IT’S ALRIGHT
- 君が気高い孤独なら
- 月と専制君主
- 希望
- 君がいなければ
- また明日…
- レイナ
- C’mon
- 君と往く道
- 荒地の何処かで
- 食事とベッド
- 約束の橋
- ドクター
- 夜のスウィンガー
- ドライブ
2曲目の「IT’S ALRIGHT」は前回2012年のライブでも演奏されたと思うので、目新しくないかなと思っていたら、ソウルなアレンジの「君が気高い孤独なら」でガツンと来た。そして今回気がついたのはセルフカバーアルバム「月と専制君主」からの選曲が多いということである。あえてそう書いているのは、「月と専制君主」にしろ、「君がいなければ」にしろ、「C’mon」にしても、ベースのアレンジがアルバム「月と専制君主」からになっていたからである。もちろん演奏者が「月と専制君主」のレコーディングの時と違うので、またアレンジも変わってはいるのだが、それでもこのアルバムの影響下にある選曲だと言える。
もう一つ言えることは、選曲の多くが佐野元春の独立レーベル「DaisyMusic」設立以降に製作された曲が非常に多いという点である。まだCOYOTE BANDとすら演奏していないと思われる「君と往く道」とか「食事とベッド」と言った最新アルバムからの曲や、前述の「月と専制君主」、「COYOTE」、「THE SUN」といったアルバムからの選曲が大半を占めているのは、ある意味珍しい選曲だといえ、佐野元春の今回のライブの意図した物が何か、少し見えてくるような気がする。今年は「DaisyMusic」設立10周年というのと無関係ではないだろう。
アレンジはライブ会場の雰囲気に合わせてか、ソウルフルなアレンジ、またはジャジーなアレンジにされているのが多かったと思う。紅一点、笠原あやのさんのチェロが佐野元春の曲に新しい息吹を与えていて、少人数のバンド編成でも、結構厚みのある音色を出していたと思う。
演奏時間が短いということもあって、MCはほとんどなし。数回「どうもありがとう」と佐野元春が述べたのと、「君と往く道」で、「冬も去って散歩にいい季節になってきたので、この曲を演奏する…単に歌詞に散歩しようと歌っているからだけなんだけれど」と冗談を言ったぐらい。その分演奏曲数は多いので、文句はない。
いくつかの曲は大幅にアレンジも変えてきていたが、一番びっくりしたのは「夜のスウィンガー」。アレンジを変えただけではなく、なんと歌詞も英語まじりの詩から、日本語に直した歌詞になっていた。これが最初聞き取れなくて、「すごい」と実感するのに、時間がかかったぐらいである。最初期の曲ということで、相当いじった印象があった。
あえてセットリストでは分けなかったが、本編は「夜のスウィンガー」で終わり、アンコールが「ドライブ」という位置づけになっている。分けなかったのは、「夜のスウィンガー」が演奏終わった後、バンドメンバーがステージから去らなかったから。メンバー紹介は「夜のスウィンガー」で行なっていたので、ニュアンス的にはこれで終わりというところである。
ライブが終わったのは5時50分。約1時間20分という短い時間だったが、充実したライブであったと思う。しかし、今度は福岡に来てほしいなと切に思った次第。地方から東京、大阪に遠征するのは費用、時間ともにかなりかかってしまい、大変である。
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