佐野元春 & The Hobo King Band Billboard Live ‘Smoke & Blue 2015’ ビルボードライブ東京

佐野元春 & The Hobo King Band Billboard Live ‘Smoke & Blue 2015’
ビルボードライブ東京

2015年6月21日/2nd

今回3回目のビルボードライブでの公演の発表を聞いたとき、「またやるの?」と頭を抱えてしまった。昨年もそうだが、交通費が馬鹿にならないのと、今年の日程があまり地方からの遠征組にはよろしくない日程だったからである。4月、5月は日程的にまず無理だった。6月はなんとかなるかもと思っていたが、東京のみ、しかも月曜会社を有給使って休むという前提での参加ができるかというところだった。ファンクラブ先行の日を間違えてチケットを取り損ねていたが、一般発売の日にプレイガイドで申し込んだら、なぜか取れてしまった。それで、実家に帰る、月曜会社有給の前提でスケジュールを立てた。

なんとか仕事の調整をつけて、6月20日に神奈川に戻り、実家に帰省、6月21日のビルボードライブ東京の2ndステージに観に行くことになった。実はビルボードライブ東京は今回初である。これまで日程の関係でいつも大阪だったので、そういう意味では、初めての場所でちょっとワクワク。6時半開場だったが、5時45分ぐらいに会場に着いて、しばらく待っていた。それからしばらくして、1stステージが終了したのを目撃した。

今回一般プレイガイドでのチケット予約のために、整理番号は後ろの方だった。ただ、真横ではあるものの、ステージを見やすい右側の位置に席をとってもらったので、佐野元春はよく見えた。その代わり、チェロの笠原あやのは全くと言っていいほど見えず、Dr.kyOnもあまり見えなかった。

夕食の時間なので、場内のレストランで食事を取った。ビールとピザのセットで、値段は高いが、味は悪くない。美味しい生ビールと、ピザで、ひとときを楽しんでいた。

ライブは7時半に始まった。メンバーはこれまでと同様、ドラム:古田たかし、ベース:井上富雄、チェロ:笠原あやの、キーボード&ギター:Dr.kyOn、そしてギター&ボーカル:佐野元春である。曲は2012年に初披露された「トーキョー・シック」からである。

  1. トーキョー・シック
  2. こんな素敵な日には
  3. 夏草の誘い
  4. 月と専制君主
  5. エンジェル
  6. マナサス
  7. クエスチョンズ
  8. 仕事帰りのおんなたち(新曲)
  9. レイナ
  10. カム・シャイニング
  11. 観覧車の夜
  12. レインガール
  13. 約束の橋
  14. ドクター
  15. 夜のスウィンガー
  16. ハッピーマン

「トーキョー・シック」はCDでは雪村いづみとのデュエット曲でリリースされているが、個人的にはビルボードライブでのアレンジバージョンの方が映える曲に聞こえる。2曲目はライブで初めて聴いた「こんな素敵な日には」で、なんか今日という日にぴったりの曲である。今回、佐野元春のMCが、前2回のライブと比べてもかなり多かった。ほとんどどの曲を演奏する前にもMCを入れる。その曲ができた背景を語り、曲を演奏するという具合である。

「アルバム Cafe Bohemia からの曲を聴いてください」と言って演奏されたのは、ライブでは珍しい「夏草の誘い」。「Season in the Sun」ではなく、「夏草の誘い」としたのは、アレンジがアルバム「月と専制君主」のアレンジをベースにして、更にアレンジを加えたものだからである。続けて同じくアルバム「月と専制君主」マターの「月と専制君主」が演奏される。

「アムバム The Circle は冬の曲が多いのですけれど」と言って披露されたのは、「エンジェル」。テンポはスローになっている。これもライブで演奏されることはなかったはずである。続いて、「1998年に The Barn というアルバムを作りました。The Hobo King Bandとのセッションで作ったのですけれど」というようなMCを入れて、ライブビデオで唯一カットされてしまった「マナサス」が演奏される。「The Barn」の中では一番好きな曲なので、この選曲は驚くと同時に、魅力的に映った。そして、アルバム「Time Out!」からは「クエスチョンズ」。これも「月と専制君主」のアレンジをベースにしていた。

「このビルボード用に新曲を作ってきました」と言って披露されたのは「仕事帰りのおんなたち」という曲。なんかどこか懐かしい感じのする曲である。どこかで耳にしたような曲調で、元春らしい仕上がりになっている。続いて「The Sun は自分と同世代の人に向けて作りました」と言って演奏されたのは、「レイナ」だった。ミディアム・テンポで、グッとくるものがある。そして、「80年代、思い入れが深いのはアルバム VISITORS です」と言って、演奏されたのは、このバンド編成では意外な「カム・シャイニング」。ちゃんと元春がキーボードでマリンバの音の再現を行っていた。僕はこの曲が大好きなので、リズムを取っていた。

「観覧車の夜」は、「The Sun Tour」では、佐橋佳幸のギターリフが印象的だが、今回は笠原あやののチェロが効果的にフィーチャーされていた。この曲も好きな曲で、ツボにはまったなと思っていた。その後、元春のMCが入り、「The Circle のレコーディング中、梅雨で毎日雨ばかりであまりに降るので、この曲を作りました」と言って、「レインガール」を演奏した。アレンジはワルツバージョンを基礎としている。またMCが入り「1989年にシングルで出した時には、チャート20位ぐらいをうろうろしていたのに、1992年にドラマのテーマ曲になると、チャートを一気に駆け上がってしまい、不思議に思いました。でも、僕にとっては大切な曲です」と言っておそらく2012年のビルボードライブからずっと演奏され続けている唯一ツアーでもよく演奏する「約束の橋」を歌い上げた。

会場が盛り上がってきたところでアルバム「The Barn」から「ドクター」を演奏。その後MCがあり、「今年でデビュ−35周年になります。デビューアルバムの中から1曲、演奏します。でもアレンジは加えていますよ。当時の荒々しさは真似できないですし」と言って、「夜のスウィンガー」を演奏。この曲の途中で、The Hobo King Bandのメンバー紹介があった。ベースの井上富雄の時には、ビートルズの「カム・トゥギャザー」のベースが演奏され、元春も「カム・トゥギャザー」と歌う趣向もあった。一応これで本編は終了。

会場が盛り上がり、これで終わりとは許さない状況だった。それで元春が「もう1曲演奏していい?」と言って演奏されたのは「ハッピーマン」。観客もずっと座っていたのに、ここで皆立って踊っていた。比較的オリジナルのアレンジに近いかなと思う。

ライブも終わり、元春が「ニューアルバムが出ます」と言って、名残惜しそうにステージを去った。古田たかしは、観客の数名とハイタッチをしてステージ上から去って行った。演奏時間は多分ビルボードライブシリーズでは最長の1時間35分。終了したのは9時5分だった。今回、遠征してまでして見たのは、費用は馬鹿にはならないが、いい雰囲気に浸れ、ライブ自体も出来はよく、結果的に「来て良かった」と思わせる内容だった。次は、地方を回るThe Coyote Bandとのライブかなと思っていた。

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