HELLBOY/ヘルボーイ/輸入盤DVDで観た映画のレビュー

HELLBOY

HELLBOY DVDジャケット 邦題 ヘルボーイ
レーベル COLUMBIA TRISTAR HOME ENTERTAINMENT
制作年度 2004年
上演時間 122分
監督 ギレルモ・デル・トロ
出演 ロン・パールマン、セルマ・ブレア、ジェフリー・タンボール
画面 1.85:1/アナモルフィック
音声 DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語、フランス語
字幕 英語、フランス語

あらすじ

 1944 年、ブルーム教授はナチス・ドイツが研究中の地獄の扉を開ける装置の破壊を図った。ナチスはかつてロシアの怪僧と呼ばれたラスプーチンの指導の下、その地獄の扉を開け、世界征服を狙っていたのである。連合国軍の協力の元ブルーム教授は地獄の扉の破壊に成功するが、その中で赤い色をしたフリークスを見つける。その後時が流れて現代。ラスプーチンが再びよみがえり、世界を破滅すべく暗躍を始める。ブルーム教授は FBI のジョン・マイヤーズを呼び、ブルーム教授を父とするレッド、またの名をヘルボーイと呼ばれるフリークスとともにニューヨークで暗躍するフリークス退治に協力を求めるが、次第にラスプーチンの間の手が彼らに伸び始めていた。そしてその最後の狙いはヘルボーイの能力だった。

レビュー

 ハリウッド映画お得意のアメリカンコミック原作の映画版がこの作品ですが、これまでのアメリカンコミック物の映画とは若干趣をことにしているのが面白い作品です。

 “X2” でも触れていますが、1989 年のティム・バートン監督の「バットマン」以降、精神的な、あるいは肉体的なトラウマを抱えた主人公が苦悩しながら正義を行っていくという作品が多いのがパターンではありましたが、この作品の場合、それがとても希薄です。一応お仕着せのようにそういうショットや台詞を登場人物に言わせていますが、全然それが伝わってこないところが逆転の発想の作品かなと思います。つまりこの作品のポイントはパターン化しているようでしていない、単純にエンターテインメントを創って見せているところにあるといえるかと思います。

 大体にして主人公のヘルボーイが主人公とは思えない素行不良な行動ばかりしています。アメリカでの公開時には PG-13 というレイティング( 13 歳未満の子供は保護者同伴でないと観てはいけない映画になっています)がかかっていますが、葉巻はプカプカ吸うは(レイティング云々以前に 2005 年現在日本以外の国ではタバコは確実に健康に害があるから吸ってはいけない物の象徴のようになっていることからしても観ていて「いいのか。」と突っ込みを入れたくなります)、育ての親であるブルーム教授に反抗するは、しゃべり方は最近の映画では観なくなったタフガイっぽいはで、ある意味新鮮にすら思えてしまいます。そして自分の素性に苦悩しているかと思えばしているようには見えないし、怪物退治の時には一般人に怪物扱いされるは、と散々な目にあったりもします。そのくせ子猫を救いつつ怪物退治を行ったり、同じフリークスであるリズに対して好意を抱いていたりとなんだか他のアメリカンコミックヒーローとは違った愛すべきキャラクターに見えます。

 物語途中でブルーム教授が殺害されたことによりヘルボーイはラスプーチンに対して対峙をしていくことになるのですが、基本がエンターテインメントを狙ってのことですからヘルボーイの心境の変化の動機付けが弱いです。また、ラスト近く好意を持っているリズを救うために邪悪に手をかそうとしますがそれも単なるパターンです。

 つまりこの作品は徹底的にワンパターンを利用してエンターテインメントをしようとしているところ、そしてスタイリッシュな映像を演出していることに意義があるのであって、観る側もそれに気付いて楽しんだら十分に制作者の意図に合致した見方が出来ます。後は監督の趣味なのかもしれませんが、気味悪いクリーチャーを楽しむというのもポイントではないかと思います。

 作品中では結構お遊びもあるようで、ヘルボーイの実在する世界で「ヘルボーイ」の漫画が存在していて、本物を見た子供が「あんた本物だったんだ。」と言われてしまったり、これは個人的見解ですけれどリズのファイアスターター能力は実はスティーヴン・キングの小説のパクリじゃないの ? と思ったり、ラストで一応主人公たちのフリークスの苦悩を描いて終わったかと思ったら FBI のお偉いさんのギャグが入ったりと、そんなところもエンターテインメントしている作品と見える理由かもしれません。

 もっとも「スパイダーマン」と違って闇のシーンや暗い画面が多いのはいくらエンターテインメントと言っても作品のトーンに大きく影響を及ぼしています。何となくハードボイルド物の雰囲気が感じられるのです。ヘルボーイの素行不良ぶりはそんなところにもあるのかもしれません。

 画質は良好ですけれど当然暗い画面が多いです。地下のシーンとかばかりですし。そして音響は当然サラウンド全開です。それだけで楽しんでもいいかと思います。

 余談ですけれど、この DVD、監督のイントロダクションが入っていて「オーディオコメンタリーとかも入っているから十分に楽しんでね。」とかしゃべっているのですが、隠しコマンドがありましてそこで思いっきり画用紙に書いてある台詞を読んでいることや台詞を直したことなどのネタ晴らしをしています。そんなところも含めてこの作品はエンターテインメントしてますね。

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