INSOMNIA
邦題 | インソムニア | |
レーベル | WARNER HOME VIDEO | |
制作年度 | 2002年 | |
上演時間 | 118分 | |
監督 | クリストファー・ノーラン | |
出演 | アル・パチーノ、ロビン・ウィリアムス、ヒラリー・スワンク | |
画面 | 2.40:1/アナモルフィック | |
音声 | DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語、フランス語 | |
字幕 | 英語、フランス語、スペイン語 |
あらすじ
アラスカのナイトミュートという町で女子高生の殺人事件が発生した。ロサンゼルス市警のドーマーとエクハートが事件の捜査を開始し犯人を追い詰めるが、ドーマーはエクハートを誤って射殺してしまう。とっさの嘘によりドーマーは一難を逃れるが、仲間を殺してしまった罪の意識とアラスカの白夜により不眠症になり、次第に追いつめられていく…。
レビュー
アル・パチーノとロビン・ウィリアムス、夢の競演といったところのサスペンス映画です。どちらも単独で映画出演して十分ヒットできる方々が競演するのですからそれだけでも楽しめます。特に良い人役か、お笑い役が多い(そのせいで一部から鬱陶しがられている)ロビン・ウィリアムスが今回珍しく悪役を演じているのは興味深いです。この作品のあと彼は「ストーカー(原題:One Hour Photo)」という作品でも悪役を演じております。何か心境の変化でもあったのでしょうか。
作品の内容も優れたサスペンス物ですので、ぐいぐいと物語に引き込まれていきます。あまり映画にでてこないアラスカが舞台ということもあって、あまり我々にはなじみのない白夜を効果的に物語に活用しています。美しいアラスカの自然と、いつまでも昼間という映像がこの作品のキーポイントではないか、と思います。こうした映像がパチーノ扮するドーマー刑事の焦燥感を強調しているのではないでしょうか。
もっとも映画が始まってすぐのシーンでアル・パチーノを観たときに「老けたな」という印象が強く、既にこの段階で疲れた雰囲気が漂ってしまっているために、同僚を射殺してしまったあとの不眠症による疲労の雰囲気が今ひとつ、という気もします。クライマックスの疲れ果てた雰囲気は、なかなかなものだけに少々残念です。ここ数年の彼の出演作(「エニイ・ギヴン・サンデー」など)のように最初はエネルギッシュで怒鳴り散らしている演技をしているほうがその対比ははっきりしたように思います。(それだと演技としてはあざとすぎるかも知れませんが。)
ヒラリー・スワンクは、「ボーイズ・ドント・クライ」での性同一性障害を持った女性の役から一転して新人地元警官の役をエネルギッシュに演じていましたが、どうも「ボーイズ・ドント・クライ」の印象が僕には強すぎ、何か違和感を感じてしまいます。またルックスが若かりし頃のサンドラ・ブロックにも見えてしまい変な気分でした。
映像クオリティは大変すばらしいものがあります。アラスカ(実際の撮影の大半はカナダ)の自然と寒々しさが画面から漂ってくるようです。また、登場人物の一人がタバコを吸うシーンなどは、思わずタバコの香りを感じてしまったほどです。アラスカの寒々しさを現すためか、少し画面が青みがかっているように思います。また、どことなくメタリック調な感じもします。このメタリック調な画面、かつてワーナーのレーザーディスクでは結構お馴染みの色調だったんです。最近余りお目にかかっていなかったのでふと懐かしさを感じてしまいました。音響は、サスペンスということもあって派手なサラウンドはしませんが、やはり登場人物の心理描写や環境の雰囲気作りに、控えめに全チャンネル鳴っていますので、物語に引き込む役割をちゃんとになっているのではないかと思います。
ちなみにこの作品、リメイク版ということでオリジナル版は 1997 年に監督:エーリク・ショルビャルグ、主演:ステラン・スカルスガルドで制作、公開されています。基本的ストーリーは同じですが(舞台はノルウェー)、ラストはこのハリウッド版と全く違うようです。こちらのバージョンも興味深いですね。
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